嚥下困難者と服薬

 
嚥下障害のある患者では、誤嚥してむせるため服用できない、口腔や咽頭に残留する、嚥下が苦手であるため自己判断で休薬するといった問題が生じる可能性がある。
そのため、嚥下機能を正しく理解した上で、適切に服薬できるような支援が重要となる。

服薬方法

  • トロミ剤溶解液
    • 方法:とろみ調整食品(以下、トロミ剤)を溶解した溶液で、錠剤等を服薬する
    • メリット:咽頭における飲み込み速度が遅くなるため、誤嚥予防につながっている
  • 服薬補助ゼリー
  • 簡易懸濁トロミ法
 

トロミ剤を用いた内服方法について

問題点

トロミ剤溶解液で服薬する時の問題点

薬剤の溶出性が低下

  • 現象:製剤が溶けにくくなる
  • 影響:薬効低下
  • 薬剤例:酸化マグネシウム錠など
  • 原因:トロミ剤
 

薬剤への影響が確認されているもの

嚥下困難者における使用頻度が高い40種類の薬剤について、影響を検討した。 ・製剤の特徴と影響: 口腔内崩壊錠では溶出時間の延長傾向があったが、概ね2分以内には溶出した。 ・トロミ剤: キサンタンガム系のとろみ剤ととろみ調整済み飲料では、ほぼ同程度の影響 予め溶液に錠剤を浸漬する場合は、1分以内の短時間にすることが重要である。
トロミ剤の種類
第一世代:デンプン系
第二世代:グアーガム系
第三世代:キサンタンガム系
 
経口フルオロキノロン錠 ・シプロフロキサシン製剤:ゲル状沈澱物質が形成され、他の製剤と比較しても、溶解が大幅に遅延した ・トスフロキサシン製剤:溶解が遅延した ・レボフロキサシン製剤:影響は受けなかった ・砕いた錠剤をトロミ剤溶解液(キサンタンガム系)に浸漬:3つともに溶解が遅延
 
対象:プラセボ、ドネペジル、ミチグリニド、アスピリン腸溶錠 ・・・トロミ水に1分浸漬後に、崩壊試験・溶解試験 ・ドネペジル・ミチグリニド:素錠はトロミ水浸漬有無の影響はなかったが、OD 錠では溶解・崩壊共に遅延した ・アスピリン腸溶錠:トロミ水浸漬有無の影響はなかった
 

影響を回避するためのトロミ剤の使い方

浸漬時間を短時間(1分以内)にする
 
・トロミ剤の成分:キサンタンガム系 ・浸漬時間:短時間(1分以内)にする
 

服薬補助ゼリーを用いた服薬支援

 

注意すべき薬剤

嚥下補助のための策をとった場合に、薬効低下する薬剤

トロミ水やゼリーで服用してはいけない薬

ビスホスホネート
→水で服薬しないと、薬効低下するため
対策:ゼリー製剤を使用する、他薬への変更

トロミ水やゼリーでの服用は推奨されない薬

リベルサス
→一定量の水で服薬しないと、薬効低下するため
対策:他薬への変更
 

服薬支援法の試み

ヨーグルト

注意点

薬物相互作用
 

嚥下困難者に対する服薬支援